今回のZOOM CREATORSに登場してくれたのは、フルピッキングの速弾きスタイルで注目を浴びる女性ギタリスト、HAGANEのよしださくらさん。ギターとの出会いから上達するまでの努力の過程、そしてギタリストとして日々向き合っていることなど、自身の音楽感をたっぷり語っていただきました。

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音を鳴らすことが好き。それを教えてくれたのがギター

──今回のインタビューでは、よしださくらさんとギターとの歴史を深掘りしていきたいと思っています。ギターを始めたのはお父様の影響だったそうですが、初めてギターに触れた時はどんな印象でしたか?

実は最初からギターではなく、ピアノもやりたいと幼心に思っていたのですが、ピアノの先生は怖かったし、幼稚園の時に教室にあったピアノを好き勝手に弾いたら怒られたこともあって、ピアノは難しそうだなって。その当時、父がよくギターを弾いているのを目にしていたので、これなら弾けるかもと思ってギターを始めました。初めてギターに触った時は、なにこれ!?難しい!っていうのと、指痛い!っていう、よくあるギター初心者の感覚でした(笑)。それが7歳の頃ですね。

──7歳というとまだ手もとても小さいし、ギターのネックを握るのも一苦労ですよね?

手も小さいし、指先もぷりぷりでしたね(笑)。でも、難しいけど楽しいなっていう感覚はやっぱりありました。音を鳴らすこと自体が好きなんだなっていう。

──当時、お父様は日常的にギターを弾いている方だったのですか?

昔はそうでしたね。友人とバンドを組んだり、コピバンもやってた時期もあります。実は母もベースが弾ける人で、兄もドラムをやっていたので、家族でジューダス・プリーストのコピバンみたいなのもやったことがあります。楽しかったですね。

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オリアンティとの出会いが女性ギタリストを志すきっかけに

──とても素敵な思い出ですね! 7歳でギターを始め、それ一筋というかギターにのめり込んでいったターニングポイントってありますか?

最初の頃は父と私で洋楽やJ-POPをコピーしていたんですが、本気でハマるきっかけになったのは、マイケル・ジャクソンのバックギターを担当していたオリアンティという女性ギタリストですね。オリアンティとスティーヴ・ヴァイのコラボ動画があるんですが、その動画をコピーし始めたことでのめり込んでいきました。オリアンティのことを知ったのは小学3年生か4年生の頃。自分もこういう風になりたい、いつかギタリストになるっていう夢ができたんです。そこからJ-POP以外にも洋楽を聴くようになりました。

──ちなみによく聴いていたJ-POPってどなたですか?

いきものがかりさんやYUIさんが大好きなんです。YUIさんって結構ロックなんですよ。

──フォークソングのイメージがありますが。

YUIさんの楽曲のagainやLIFEもそうですが、エレキギターが盛り込まれているので、それをコピーしたりもしていましたね。洋楽とJ-POP、交互にコピーしていたんですけど、だんだん速弾きにハマっていっちゃって。その時は小学6年生でマイケル・シェンカーのInto the Arena、中学2年生でジューダス・プリーストのPainkiller、高校卒業する頃にはドラゴンフォースを弾けるようになりたいなっていう目標を掲げていましたね。

──その年頃としては、とても渋いラインナップですね! 目標を掲げて一歩一歩進んでいく姿勢は真似したいです。目標をクリアする過程で、女性ギタリストゆえの壁などありましたか?

今でも壁にはぶつかっていますが、スポーツ界と同じで筋肉に関しては男性に勝るのは厳しくて。その中で私ができることを考えているのですが、ギタープレイをだんだん脱力していくっていうスタンスが正攻法だと思うんです。人間って毎日練習していくうちに楽な方に変わっていくので。でも、男性的な筋肉が必要だったり、毎日基礎練をしないとできないフレーズもあって。楽曲を作りつつ、並行して基礎練も重ねていく、その時間をどうやって作っていくのかが未だに課題です。

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いつか自分はプロになる。その思いで必要なスキルを磨いていく

──日々の基礎練もしつつ、自分の音楽も発信していく。過酷なアスリートのような生活ですね。

アスリートですね、本当に。私、自分のスマホの待ち受け画面に毎年、今年の目標をメモしていて、基礎練や自分がやるべきことを忘れないようにしています。例えばSNSを更新する!とか(笑)

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──そんな努力の積み重ねが今のよしださんを形作っているんですね。ギターで生きていくって大きな決断だったと思うのですが、その覚悟ができたのってどんなシーンでしたか?

それでいうと音楽の専門学校に行ってプロ目指します!っていう子と違って、あんまり決断した感覚はなくて。高校生ぐらいの時から自分はギタリストになれるっていう謎の自信があったんです。学校の勉強は時間がめちゃめちゃ取られるしギターの練習できないし、大学は絶対行かないって。高校卒業してからはガールズバンドのサポートをしたり、YouTubeに動画投稿したり、ひたすらにギター漬けの毎日でしたね。それでSNSをきっかけに注目していただいて、今に至ります。

──YouTubeの弾いてみた動画を初めて拝見した時は上手すぎて驚きました!ギターが好きでそれを突き詰めていった結果が今なのですね。

はい! もう成り行きで決めていて。すごい大きな決断はしてないですけど、ただプロになれるって思ってやっているから、自分でも曲作りができないとヤバいなって高校1年生か2年生の時に感じて。パソコンとかすごく苦手だったんですけどDTMの教室に通い始めました。

──DTMってギターとは全然違うジャンルで戸惑いなどなかったですか?

まず、パソコンの起動とかもドキドキするレベルで(笑)。DTMを学ぶために新宿のシアーミュージックに通っていたのですが、講師の村岡さんというドラマーでもある方に初歩から習いました。そこでDAWの使い方を知って、講義の1回目か2回目にドラムの打ち込み方法を習って、3回目の講義の時には曲を仕上げて行きましたね。そしたら村岡さんにめっちゃ驚かれました(笑)

──習得が早い(笑)

シアーミュージックに通ってた時代に作曲した曲がHAGANEの曲にいくつもあります。ファーストアルバムやファーストミニアルバムの曲はほとんどそう。その当時、自分が影響を受けた音楽とかも投影されてて面白いですね。

──音楽を通じてよしださんの歴史が残っていく感じですね。

DTMの場合はデータとして記録に残せるので、奏でる音色やギタープレイも含め、成長していることがわかるのがすごく楽しいです。

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大好きなゲーム音楽に携わるきっかけにもなったYouTube

──では次の質問です。音楽を続けていてよかったと実感した出来事を聞かせてください。

やっぱり大きい舞台に立てた時の喜びはすごいです。女性ミュージシャンのみが参加するロック・フェスティバル「NAONのYAON」に出演できたことや、青いハリネズミのソニック・ザ・ヘッジホッグが主役のアクションゲームが好きなんですが、ソニック音楽をYouTubeの弾いてみた動画に上げてみたら、ファンの方を通じて「ソニックアドベンチャー」のメインコンポーザーを担当されていた瀬上さんに届いて。それをきっかけにソニックアドベンチャーライブにゲストで呼んでもらったんです! それが音楽を続けていてよかったなって思えた瞬間です。

──音楽が人と人とを繋げていく素晴らしい経験ですね!

私、小さい頃からソニックアドベンチャーのギター音楽がすっごく好きで、それがきっかけでゲーム音楽も大好きなんです。私がYouTubeでアップしているゲーム音楽やドラゴンフォースの弾いてみた動画を観た、みつおさんという作家さんの目に留まって、ゲームソフトの楽曲をアレンジする「Falcom jdkBAND」というバンドにも参加させてもらっています。

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──すごい! 自身のYouTubeが道を切り拓いているんですね。最初にYouTubeに動画をアップしたのって、いつ頃ですか?

小学生の時に少しパソコンを触っていたのですが1回やめて、ギターの練習がてら動画を上げてみようかなって投稿を始めたのが中学2年生ですね。みんなに言っておきたいのは高校や大学といった学生時代に死ぬほど練習した方がいいということです! 時間に余裕があるのは、その時だけだから(笑)。いっぱいSNS投稿したりとか、たくさん基礎練などを重ねて腕を磨く期間にしてほしいですね。

過去イチ落ち込んだ経験もYouTubeが関係しているんですが、元々は兄のYouTubeアカウントで動画を上げていたんですね。でも高校卒業してすぐぐらいの時に兄とくだらない大喧嘩をして、投稿動画を全部消されちゃって。

──中学2年生から投稿していた動画すべて?

もう全部消されちゃって、コメントや再生数、チャンネル登録数もだいぶ盛り上がってきたところだったので、1週間ぐらいすごい落ち込んじゃいました。でも、それを機会になんか火がついちゃって、絶対この曲上げてやる!みたいな感じの。その時の曲がドラゴンフォースのAshes of the Dawnだったんです。

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──悔しさのドラゴンフォース!

人間ってこういうことがあると、めっちゃやる気に火が付くんだっていういい経験をしたと思います。その当時はコンビニでバイトをしていたんですが、朝6時から9時まで3時間バイトして、9時から12時まで昼寝して、12時から夜の11時とか12時までギターの練習をしていました。自分の部屋のソファに座って基礎練を2〜3時間やった後、ドラゴンフォースの曲を練習するっていうのを2〜3ヶ月やりました。がむしゃらになってスランプとか考えずにできるまで弾くっていうのが1番いいと思いますね。

──昼の12時から夜の12時まで練習って相当過酷だと思うのですが、どんな心情なんでしょう?悔しさ満点なのか、楽しさが勝つのか。

それはもう楽しいです! まずは弾きたいと思う曲を耳コピして、最初はもちろん弾けないんですけど、練習していくうちに弾けるようになる、その過程がとても楽しいんです。ゲーム感覚というか、ひとつずつミッションをクリアしていくイメージですね。なので、未だに洋楽とかコピーするのもすごく好きです。もちろん耳コピも大好きです!

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ギターとは私であり人生。その思いでこれからも生きていく

──ギターにはアンプやエフェクターなど多種多様な周辺機材がありますが、機材選びで重視されていることって何かありますか?

その時欲しいものを買う、ですかね(笑)。あとは自分が出したい音のスタイルに合っているかどうか。例えばZOOMさんのMS-50G+というマルチエフェクターは軽いし、機能が凝縮されているので地方へライブに行く時とかとても便利なんですよね。

──実際にMS-50G+を使ってみた感想をお聞かせください。

とにかくわかりやすいですね。操作が簡単なのとエフェクトの種類によってモニターの色が変化したり、ステージ上でも重宝しています。あと日本製のZOOMさんなので故障しにくいっていう安心感もあります。

──MS-50G+はどんな人に向いていると思いますか?

エフェクターをいっぱい組んでいる人だったら、ディレイだけでなくドライブとか他のコンプレッサーなどいろんな要素がこのMS-50G+に詰まっているので、機材をなるべくコンパクトにしたいっていう人には本当にオススメです!

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ZOOM MS-50G+

──ありがとうございます! では最後によしださんにとってギターってどんな存在でしょうか?

そうですね…、ありきたりになっちゃうかもしれませんが、ギターとは私であり人生。ギターに出会っていなかったら、今頃何しているんだろうって(笑)。一生ギターと一緒に曲を作っていくと思っています。ここだけの話、ギターと引き合わせてくれた親には本当に感謝していますね。

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音楽のプロを目指している方へのメッセージ

”プロになろうってすごく強く思わなくてもいいのではって私個人的には思っていて。大切なのは楽しみながら、ひたすら継続すること。そしてSNSを更新し続けることがプロへの道に繋がっていると思います。あとは私のように何か特化したジャンルがあるといいですよね。メタルに特化していますっていう人にはメタルの仕事がきやすいし、何か好きなジャンルを極めていくのもポイントです”

よしださくらギタリスト/作編曲家
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よしださくら

ギタリスト/作編曲家

12月28日生まれ。7歳からギターを始める。中学生になり、YouTubeに洋楽の弾いてみた投稿をスタート。その速弾きの技術は、伝説的ヘヴィメタルバンドのIMPELLITTERI、DragonForce本人も公認。高校卒業後はギタリストとしての出演やバンドサポートを重ねつつ、バンドメンバーを募集。2018年にはガールズメタルバンド「HAGANE」を結成し、現在に至る。2022年HAGANE東名阪ワンマンツアーがSOLD OUT、これまでリリースしたCDもオリコンやTuneCoreでチャートインを果たす。ゲームソフトの楽曲をアレンジするバンド「Falcom jdkBAND」や艦隊これくしょん -艦これ- の公式ガールズバンド「艦これ1MYB」でもギターを担当。

よしださくらYouTube:https://www.youtube.com/@sakura_gt

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