Chris Munro



CHRIS MUNRO


Chris Munroほどプロダクションサウンドミキサーとしての輝かしいキャリアを誇る人は、どれだけいるだろうか。50年にもおよぶ膨大なキャリアで、オスカーを2度、英国アカデミー賞を2度受賞したほか、数々の受賞歴、ノミネート歴を重ねている。ここ2年ほどで手がけた作品を挙げるだけでも、『レディプレイヤー1』(2018)、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)、『スパイダーマン:ファーフロムホーム』(2019)、『ラストクリスマス』(2019)、『ドクタードリトル』(2020)、『ブラックウィドウ』(2021)、『ミッション:インポッシブル7』(2021)とあり、氏がいかに重要人物であるかを物語っている。

F6


ZOOM F6


『ブラックウィドウ』の制作で、彼はフィールドレコーダー『F6』を使用した。その中でオートバイの集音が必要なシーンがあった。その時のことを彼はこう振り返る。「オートバイは本当に録りにくいんです。とにかくもの凄い音量ですから、マイク1本だとかなり距離を取らないと無理ですね。ダイナミクスがかなりありますからオンマイクは無理なんです。でもマイクを何本も使えるんだったら、マイクを色々セットして録れて後で編集もできますよね。それで選んだのがZOOM『F6』だったんです。これならマイクをバイクの色々なところにセットできますし、コンパクトですからライダーを神経質にさせることもありません」。

バッグの中のF6

32ビットフロート録音ができるということは、レベルはポストプロダクションで調整できますから、歪んだり欲しい音を録り逃す心配がないんです。32ビットフロートを使うことでダイナミックレンジを770dBに拡大できるんです。”

Chris MunroSound Designer
サウンドデザイナー、Chris Munro
Chris Munroのセットアップ



『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』を可能にしたミッション

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』でChrisがすぐに構築したのは、『F8n』を中心とした機材セットだった。音声クルーの一員として、ニュージーランドやノルウェーでのロケからロケへと、ヘリコプターで移動できるコンパクトさが必要だったからだ。

ヘリコプター

機内での収録

ヘリコプター機内でのシーンでも『F8n』を使用したと彼は打ち明ける。トム・クルーズがヘリを操縦しながらスタントをするシーンでは、ヘッドセットを装着せずにヘリを操縦するだけでなく、セリフをクリアに収録できるテクノロジーが必要だった。そんな時でもChrisはいつものように困難に立ち向かった。まず、何か使える技術はないかとリサーチし、軍事用に特別に開発された骨伝導技術を採り入れ、航空規制を遵守するためにインターフェースをヘリから隔離することで、ヘッドセットを装着したのと同様の効果を上げた。

F8n

ZOOM F8N


『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』では、『F8n』が活躍したのはヘリのシーンだけではなかった。「パリでのカーチェイスやバイクチェイスでも、ヘリのシーンでも使いましたよ。最初に『F8n』を使ったのは、パリでのカーチェイスでしたね。車載カメラをたくさん積んで撮影するシーンでは、どうしてもコンパクトなマルチトラックレコーダーが必要だったんです。その時すでに『F8n』を持っていましたから、これを車載すれば行ける!って思いました。そこですぐにワイヤリングを済ませて、レベル設定をして、上手く行きました。『F8n』はどのクルマに積んでも上手く録れましたね」。

FRC-8





『FRC-8』を含むChrisの機材セット

H3-VR






Chrisは必要に応じて、環境音や効果音のアンビソニック収録に『H3-VR』も使用している。

“ZOOMのレコーダーが素晴らしいのは、サイズや用途に合わせて機種をチョイスできる点にありますね。仮に車載で使用してカークラッシュさせなくてはならないとなったとしても、予算的な打撃を小さく抑えることもできます。でも知ってます?全然壊れないんですよ!全然ですよ。”

Chris MunroSound Designer
セットアップ
F8n